帰化申請が不許可となった場合の対応策と再申請
申請書類を苦労して集めて、帰化申請をしてみたものの
というとき、どうすれば許可されるのかわからない方がほとんどかと思います。
同じ後悔をしないように、ここでは不許可事例と再申請をする前に知っておきたいことを紹介します。
不許可の後にすぐ再申請をしてもいいの?
結論から言うと、すぐに再申請をしても再び不許可となる可能性が非常に高いです。
なぜなら、不許可となった原因がすぐに解消できるものではないと考えられるためです。
まずは、すぐに再申請をするのではなく、不許可となった原因を探し出して解消することを最優先にしましょう。
不許可の原因はわかるの?
不許可となってしまった方は、その原因を確認したいと思われるはずです。
帰化申請が不許可となったときは、法務局から「不許可通知書」というハガキが郵送で自宅に届きます。
しかし、このハガキには
と記載があるだけで、理由や原因の記載がありません。
また、法務局に聞いても原則教えてくれません。
そのため、不許可となった原因は自分自身で探し出す必要があります。
ただ、不許可となってしまった方の多くは、申請前や申請中の行動に懸念材料があるようです。
帰化申請の不許可事例について紹介
再申請が許可される確率を上げるために、不許可となってしまったケースを知ることで再申請にも、もちろん初めての帰化申請にも役立ちます。
① 申請書類に虚偽の記載や不利益な事実を隠していたことが判明した
不利益な事実を隠したまま報告をしたとしても、法務局の厳しい審査や調査によってすぐにバレます。
不利益な事実とは |
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・家族に税金未納者がいた ・オーバーステイをしていた ・犯罪歴があった など、要件を満たすうえでのネガティブ要素 |
上記の例は、そもそも帰化の条件を満たしていないため、正しく申告しても不許可となる可能性は高いのですが、どちらにしても嘘をつかず正直に申告することが大切です。
申請書類にミスがあって意図せず事実と異なる報告になってしまった場合であっても、法務局から見ると「事実と矛盾した虚偽の報告」であることには変わりませんので、十分に注意しましょう。
ネガティブ要素や申請書類に不安がある方は、行政書士などの専門家へ正直に相談し、十分に対策をしてから帰化申請を行うのが賢明です。
② 安定した収入がなかった
帰化申請では、日本での生活に困らないレベルの資金や安定した収入が本人または家族にあるかが重要です。(生計要件)
「安定」というと、正社員よりも派遣社員・契約社員が不安定な立場であることは否定しきれません。
年収250万円未満の方は、キャリアアップで年収を増やすか、できるだけ支出を減らすなどの対策をしてから帰化申請をしましょう。
転職が多い方や現在の職について間もない方は、「すぐに職が変わって収入が減るかもしれない」と厳しく判断される可能性があるため注意が必要です。
申請前に少なくとも1年以上の勤務実績を残すようにしておくとよいでしょう。
他にも、申請人ご本人が無職で配偶者の年収が低い、かつ、家族からの経済的な支援を受けられない場合は不許可のリスクが高まります。
③ 日本を離れて海外へ行くことが多かった
帰化申請では、日本を生活の中心地にしていることが求められているため、継続して5年以上日本に住んでいる必要があります。(住居要件)
「継続」が重要であり、直近1年で日本にいない期間が長いと日本が生活の中心地ではない。と判断されるため、海外出張が多い方や頻繁に帰省する方は注意が必要です。
不許可となる出国日数の例 |
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・1回の出国で連続3か月以上日本を離れていた ・年間でおよそ合計100日以上日本から出国していた |
上記に該当する場合、それまで日本に住んでいた日数はリセットされ改めて0日から数え直しとなるようです。
もちろん、申請書類提出後の審査期間中も出国日数には注意が必要です。
ここまでの①〜③は、帰化の7つの条件を見れば事前にわかるため、申請前によく確認しておきましょう。
④ 審査中に退職、転職をした
申請前は当然ですが、申請後から帰化許可されるまでの審査期間も生活の状況が変化しないように注意が必要です。
なぜなら、審査期間の約1年間で仕事を退職、転職したなど、収入面で悪い変化があった場合は、「今後も安定した収入が見込めないのでは?」と判断されてしまうためです。
日本で継続して安定した生活ができることを証明するために、帰化が許可されるまではできるだけ現在の生活状況を変えないことが重要です。
⑤ 審査中に交通違反や犯罪行為、税金の滞納をしてしまった
先ほどと同様に、帰化許可されるまでが審査対象ですので、申請前に何も違反していなかったとしても、審査中に違反した場合は不許可になる可能性があります。
特に、車を運転する方は交通違反、個人事業主は住民税や年金の滞納など、うっかりしてしまうことが無いように引き続き注意が必要です。
⑥ 法務局への報告義務を怠った
申請後に申請人や家族の状況が変わり、申請書類の内容と事実が異なってしまった場合は、法務局へ必ず報告しなければいけません。
法務局へ報告する内容の例 |
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・交通違反をしてしまった ・退職/転職をした ・引越しをした ・結婚/離婚/出産など家族状況が変わった ・日本から出国する(事前に連絡) |
⑦ 法務局からの指示に従わなかった
審査中は、申請書類の内容が事実であるかを確認するために法務局が厳しく審査や調査を行います。
事実確認の方法は、法務局担当官との面接や近隣調査、家庭訪問、職場調査、追加質問、追加書類の提出などがあります。
そのような法務局からの指示に従わなかった場合は不許可になる可能性が高まります。
不許可の原因がわかったあとにするべきことは?
不許可の原因を明確に知ることは難しいですが、原因に検討をつけることはできるかと思います。
そうすれば、原因の解消時期に見通しがつき再申請の準備をすることができます。
例えば、
・家族や親族から経済的な支援を受ける
・転職して間もないなら勤務実績を残す
などをそれぞれ1年以上継続してから申請してみよう!と見通しをつけられます。
海外にいることが多いなら、直近5年間の出国日数に問題がなくなってから申請する。
交通違反が原因ならば、運転記録証明書には過去5年間の情報が記載されるため、最後の交通違反から5年間経ってから申請する。
そのように帰化許可を見込めるまでの期間に見通しを立てて、再申請の準備を進めましょう。
まとめ
残念ながら不許可となってしまったとき、法務局は原因や理由を教えてくれません。
そのため、すぐに再申請ではなく、まずは原因の特定と対策、解消時期の確認をしたうえで、帰化許可までの見通しを立てることが重要です。
しかし、帰化申請の再申請を自身のみで行うのは相当苦労すると思われるので、専門家に相談することをおすすめします。
なお、当事務所では、申請人ご本人やご家族の状況をお聞きして、帰化許可できるかどうかを無料で診断しております。
帰化申請前に懸念点があれば、事前に対策や最適な申請時期をご案内し、不許可の経歴を作ることなくスムーズに日本国籍の取得ができるよう全力でサポートいたします。
あなたの帰化申請のお力になれれば幸いです。